海外旅行後の下痢が続く?「旅行者下痢症」について知っておきたいこと!

【海外旅行での下痢対策】藤沢善行ファミリークリニックのトラベルクリニック

今年の年末年始は暦のめぐり合わせで9連休になった方が多かったと伺いました。勢い勇んで東南アジア三カ国を旅行し、旅の途中から下痢が始まり、帰国後も下痢が続いてしまう――。そんな辛い思いをされた方もいらっしゃるでしょう。せっかくの楽しい旅の思い出も体調を崩してしまっては元も子もありません。海外旅行に関連した下痢は「旅行者下痢症」と呼ばれます。衛生環境が十分でない地域や発展途上国に2週間以上滞在すると、約半数の旅行者が「旅行者下痢症」になるとの報告もあります。海外留学を含めて、海外生活5カ国で通算10年、外務省医務官としてインド、ルーマニア、カザフスタンに勤務した経験に基づき、「旅行者下痢症」についてお話します。これから海外に旅行・出張・赴任される皆様に少しでも役立てていただければと思います。

 

1. 旅行者下痢症とは?

 海外旅行中、あるいは旅行後の下痢である「旅行者下痢症」は、実は皆さんが最初に思い浮かべる「感染症」だけではなく、旅行の準備段階から蓄積した疲労や、睡眠不足、慣れない食事・香辛料・油・水などが原因になることもあります。無理のない旅行日程が一番の基本です。あちこち楽しみたくても欲張らず、無理のないゆったりとした日程を組むことをお勧めします。しかしながらどんなに注意していても、飲食物を通じて細菌・ウイルス・寄生虫に感染します。特に以下の病原体が関与します。

★細菌(約80-90%) 病原性大腸菌(ETECなど):最も一般的な原因菌。 サルモネラ菌 カンピロバクター 赤痢菌(シゲラ) ビブリオ菌(コレラを含む)など

ウイルス(約5-10%) ノロウイルス ロタウイルス A型肝炎ウイルスなど

★寄生虫(約5%以下) ジアルジア(ランブル鞭毛虫) アメーバ赤痢 クリプトスポリジウムなど

ウイルス、細菌、原虫、寄生虫などの病原体の感染が関係しているケースでは、検便や培養、PCR検査によって最終的に診断されますが、通常の外来診療では検査の種類が限られているため、原因が確定できるのは約60%程度といわれています。なかなか最終的に病原体を特定できないことも多いのです。

 

2. なぜ渡航先の情報が大切なのか?

下痢症状が長引く場合、必ず「海外渡航歴」を受診した医師に伝えましょう。 以下のような情報が診断の大きな手がかりとなります。
• どの国・地域に滞在したか

• 滞在期間はどのくらいだったか

• 食事内容:屋台を利用したか、コップの水や氷を飲んだか、カットフルーツを食べたかどうか

普段からのかかりつけ医がいない場合は、海外渡航者診療に慣れた トラベルクリニックを受診すると安心です。 お近くのトラベルクリニック専門医を探すと適切な検査や治療を受けることができます。

 

3. 長期化し慢性下痢症になる可能性

一般的には、原因が特定されて内服薬や点滴などで適切な治療を受ければほとんどの方が治癒します。しかし、全旅行者の1%が慢性下痢症に移行するともいわれています。

・原虫や寄生虫感染

ランブル鞭毛虫(ジアルジア)やアメーバ赤痢などは顕微鏡での病原体確認が必要です。 渡航後の体調がなかなか回復しない場合は、消化器内科やトラベルクリニック専門医を受診しましょう。

・過敏性腸症候群(IBS)との関連

過敏性腸症候群の原因の4〜31%が旅行者下痢症であるとの報告もあります。 旅行後、数ヶ月経ってもお腹の調子が整わない場合は、再度医療機関を受診して改めて海外渡航歴を伝えることが大切です。

 

4. 事前のトラベルクリニック受診で安心な旅を!

海外旅行前にトラベルクリニックに受診すると、「海外旅行中の医療サービス利用や旅行後の医療機関への受診」を50%減らせるという研究結果があります。事前に感染症リスクや予防接種(腸チフス、A型肝炎など)について知っておくことで、快適な旅ができ、帰国後のトラブルも減らせます。

 

まとめ

・旅行者下痢症は旅先で多くの人が経験し得る一方、正しい知識と準備でリスクを軽減することができます。

・症状が続く場合は、お近くのトラベルクリニックに早めに相談を。

・海外旅行を存分に楽しむためには、事前受診による対策が重要!

最新の医療衛生情報に基づいたアドバイスや予防接種を受けることで、安心して旅を満喫できるでしょう。

※本ページの情報は医師の知見をもとに作成していますが、実際の症状や状況に応じて医療機関を受診し、医師とご相談ください.

 

 

藤沢善行ファミリークリニックのトラベルクリニック

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